湘南在住のフラダンサーで、seed and soilのモデルも務めてくれているHinako。
日本とハワイを行き来しながらフラと向き合い続ける彼女からは、少女のようにピュアなエネルギーと、芯の強さを感じる。ハワイの文化から得た自然との繋がり、今の彼女のライフスタイルについて訊いた。この日、彼女がよく通っているという、お気に入りのカフェに案内してくれた。
「最近は、フラの映画上映の準備があって、ここでよく作業しているの。いつもは、ブログを作ったり、SNSの発信をしたり、次の旅の計画をしたり。全然忙しくはしていなくて、ゆっくりと時間が流れてる感じ。フラの練習に行く日もあるし、波があればサーフィンに行くよ。」
[Organic cotton tank(toffee sizeS) 着用]
湘南に生まれ、幼少期からサーフィンやスケートボードを楽しんでいた彼女。そんな中、近所のフラダンススタジオに通い始めたのは、8歳の頃だったと言う。
「フラを始めた時は、可愛い衣装を着て、プリンセスの気分で踊るのがとにかく楽しかった。ただ体を動かすだけではなくて、一つ一つのモーションに込められた意味を理解して、そこに自分の気持ちを乗せて表現することが面白かった。」
今はもう、フラは人生において欠かせない、生活の一部だと語るHinako。フラダンスにのめり込んでいった彼女にとって、大きなターニングポイントとなったのが、2016年(当時18歳)からのハワイ留学だった。
「フラをもっと深く学びたくて、高校を卒業したタイミングで、フラダンスの本場であるハワイへ留学に行ったの。ハワイへ行って、道ができたように感じた。全てのピースがぴったりはまった感じ。自然や神様の存在が近くにある中で、自由にフラを踊って、サーフィンをして。みんな伸び伸びとしていて、自然の中に生きている、そのサイクルが凄く心地良かった。ハワイで過ごした4年間で沢山のことを経験して、学んだけれど、何よりも一番よかったことは、本当の自分らしさに気付けたこと。それは今の生き方のベースになっていると思う。」
Hinakoは、自分の人生に輝きをもたらすものに気がついているようだった。そんな彼女の根底にある価値観やマインドセットにも、ハワイでの学びが大きく影響を与えたと言う。
「日本でやっていたフラと、ハワイで学ぶフラで、大きく違ったことが、自然とフラとの繋がりだったの。日本では、振りとその意味を教えてもらって、ただそれを踊るだけだったんだけど、ハワイではその全てを肌で感じて理解することができた。山に入って山の神様にお祈りをしたり、そこで衣装に使う植物を採ったり。それらの経験は、振り付けの意味をより理解して、踊りに深みを出すことに繋がっていったの。ハワイの歴史を学びながら、伝説が伝わる場所を自分の足で訪れたりもした。踊りに使う衣装も楽器も、山に入って採った植物で、自分たちで全て作るの。それは日本では絶対に出来ない経験だった。”大地があってこそのフラ”ということを、いつも肌で感じながら、教えてもらっていたよ。」
「ハワイアンが大切にしている考え方に”Mauka to makai”というものがあって。自分で摘みに行った植物や、フラで使ったレイやライスカートなど、自然から頂いたものを、自然に還すという意味。山(mauka)で採った植物を、踊りで使って、感謝や祈りの気持ちが込められたものを、海(makai)に還すということなの。これは、フラダンスだけではなくて、ハワイで古くから大切にされてきたこと。自然の循環を表す言葉だね。」
ハワイでの記憶を思い出しながら、ゆっくりと穏やかな表情で話すその姿からは、自然を大事に思う優しさが感じられた。
最近はフラだけではなく、フラで使うレイ作りや、サーフィンの時間も大切にしているHinako。サーファーの彼とはよく旅に出て、一緒に海に入る時間を楽しんでいるそう。彼女にとってサーフィンも、レイ作りも、メンタルヘルスを保つために欠かせない時間だと語る。
「レイを作っている時は、本当に幸せ。お花が好きだし、見ること、触ること、その全てからエネルギーを貰える。誰かにあげるレイも、自分のために作るレイも、全部愛おしい。サーフィンは、今の彼と出会ってからより好きになったな。時間の流れがゆっくりで、無駄なものが何もない。最高の癒し。」
自分の好きな時間を追い求めながら、自然と共存して生きている彼女は、ピースフルな感覚で溢れていた。
[Organic cotton tank(ivory sizeS) 着用]
「お金よりも、自分の好きなことを大事にしたいの。お金のことを考えてバイトをたくさんしていた時期もあったけれど、自分らしくいられていないと感じて、ある時思い切って辞めてみたんだ。そうすると、その余白に新しいチャンスや出来事が自然と入ってきた。」
[Organic cotton cardigan(olive) 着用]
多くを持ち過ぎず、必要最低限を持つということ。Hinako自身がそれを体現しているように見えた。そんな彼女に、普段どんなマインドで過ごしているのか、尋ねてみた。
「何事も、必要最低限で良い。無くても良いものって、意外とたくさんあるんだよね。シンプルを極めていった時に、気付くことも沢山あると思う。買い物をする時も、本当に自分に必要なのかどうかをよく考えて買うようにしてる。私はヴィンテージのお洋服も大好きだし、新品のものを買うときは、長く使えるように丈を直したり、色々工夫しているよ。お洋服も、物も、長く使えるものを選ぶことが、私のポリシーかな。シャンプーやリンス、日焼け止め、歯磨き粉は、海に流れても安全な素材のものを必ず選ぶようにしてる。サーフィンしながら旅をしていると、自分が出した排水が直接海に流れていくのが目に見えるから、それは絶対に守らないといけないと思う。」
最後に、これからについて考えていることをこう語ってくれた。
「もっともっと、自分の好きなことがしたいと思ってる。もちろんフラもずっと続けていくつもり。今は、その好きなこと、自分のやりたいことで、社会からの需要が作れるように試行錯誤しているところなんだ。最近は定期的にレイ作りのワークショップを開催したり、10月には、奄美大島でライフスタイルリトリートを予定しているよ。自分の好きなことで、楽しく生きていきたい。」
日本人らしい慎ましさと、ハワイでの学びから得たおおらかさを合わせ持つHinako。これからの、彼女らしい活躍が楽しみだ。
Profile
神田 日向子 / HINAKO KANDA
1997年、湘南生まれ。幼少期よりフラを始め、オアフ島を代表するクム、サニーチン主宰のハーラウ ・ナー ・ マモ ・オ ・ プウアナフルに所属し、日本校のチーム代表として2018年、全日本フラ選手権に出場。Miss Hula Japan 2018に輝いた。フラの最高峰、メリーモナークの舞台にハワイ校のメンバーとして4度出場。現在は、ハワイで日常として作っていたお花のレイやレイポオを作る有意義な時間をシェアする場を設けたり、自分のルーツであるフラやサーフィン、スケートボードというビーチライフスタイルの発信する。