「久しぶりー!」

明るい笑顔で素敵な自転車に乗って現れたパリサ。そう、今回は日本人の母とイラン人の父のあいだに生まれた彼女のお話を聞きに、公園で待ち合わせをしていた。

八月の終わりだというのに、空気はまだ夏の熱を抱えていて、公園は静まり返り、ただ肌の上でジリジリと焼ける音。
「今日も暑いね」そんな言葉をかわしながら、私たちは木陰に座り、彼女のお話を聞かせてもらった。 


Boheme wrap top(mocha) & Boheme lounge pants(mocha)

彼女との出会いは10年以上前になる。
二つの国のルーツを持つ彼女は、東京で生まれ育ち、今も東京をベースに様々な活動をしている。

当時の印象はかっこいいダンサー。華やかなメイクに大きなフープピアス、音に合わせて跳ねるような存在感を放っていて、DJとしての活躍も目を引いた。
そんな彼女は、どこか輪郭がやわらかくなっていて、息が深く吸えるような、そんな穏やかさを纏っていた姿に驚いた。

10年前と、好きなものは何ひとつ変わらないのに、変化を遂げるパリサのストーリーがますます気になった。

今では「瞑想」を軸にしていると話す彼女。
その変化の背景には、「精神世界」との出会いがあった。

『精神世界との出会い』



遡ると、幼いころ。
パリサのボリュームのあるカーリーヘアとエキゾチックな顔立ちは、教室ではしばしばからかいの的になっていた彼女。
「学校に行けば必ず『毛が濃い』『髪の毛がくるくるでブロッコリーみたい!』って言われて、やり返してはやり返されて…あの時はいつも戦ってたんだ」

そうして気づけば学校では “問題児” と呼ばれるようになっていた。戦うことでしか自分を守れなかったあの頃、言葉の刃から身を守るために闘うことを覚えたという。

「毎日のように誰かと喧嘩をして、気づいたら問題児扱いになるし」
苦笑い混じりにそう振り返る彼女。

「あまりにも喧嘩ばっかりしていたから、お母さんが私のことを、スピリチュアルカウンセラーに相談しに行ってくれるようになったの」

 

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”スピリチュアルカウンセラー”

未来を断言する占いではなく、その人の中にある魂の声や、守護霊の存在と静かに対話しながら、気づきの扉をそっと開いてくれるような存在。あまり日本ではなじみがないが、スピリチュアルカウンセラーは、彼女にとって“戦う”以外の道をそっと教えてくれる存在になった。

パリサの平和を守るためと、お母さんが導いたその出会いが、彼女を精神世界へとつなげる入り口となった。


Comfy knit top(oat)

 

『音楽が広げた世界』

彼女にとって欠かせない存在である、音楽。幼い頃からお母さんの影響でディスコを聞いたり、ダンスを率先して習っていたという。

中学生の時には、吹奏楽部に所属し、数々のコンクールに出場。強豪校として知られていたため熱心に取り組んだ。

高校時代には、ダンスを追求すべく渋谷や原宿に通い、音楽に触れる日々。音楽とはすごく近い距離にあったという。そんな時、彼女が17歳の時に、DJの師匠と出会った。

「小さい頃から音楽をやってたからか、師匠にDJのセンスがあるっていってもらえて、習っていくうちにめり込むようにハマっていったの」

自分を表現する一つの手段としてDJを様々な場所で披露する機会も増えたパリサ。経験をつんでいくにつれ、彼女の中で芽生えていく「これからDJとしてキャリアを積んでいきたい」という想いが静かに大きく膨らんでいった。

それと同時に、日本での活動のなかではどこかエネルギーを持て余しているような感覚もあったと話す。

「高校三年生のとき、進路を考えていたら“世界に出たい”って気持ちがどんどん強くなっていったの。そのためには、英語をちゃんと身につける必要があると思ったし、現地で学んで、自分の力で実績を積んでいきたかった。

日本のエージェントに導かれて“世界へ”という形もあったけど、そこに自分を当てはめるのは違うなって感じたの。自分で道を切り拓いて築いていかないとって。」

それから、彼女の中で海外がはっきりと視界に入り始めた。

「Nobody will take me outside of Japan. 日本だけで活動する未来は考えられなかった」と話す。

 


Boheme wrap top(mocha) & Boheme lounge pants(mocha)

高校を卒業すると、自分の手で世界を切り拓くと決めてロサンゼルスへ。
「世界共通語を話して、自分自身の手で自分の世界を広げていく」
その強い意志を胸に大学に進学し、DJとしてのキャリアを重ねていった。

そして気づけば、ハリウッドのクラブではレギュラーでプレイするようになり、
自らパーティを企画するまでに。
名だたるアーティストたちが彼女の音を聴きに足を運ぶようになった。

高校生の頃に心の中で描いていた未来。
それは、夢ではなく、彼女自身の手で切り拓いた現実になっていた。

 


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『瞑想の入り口』

学生ビザの期間を終えて、ロサンゼルスから日本に戻ってきた23歳のパリサ。

「visa延長の話があって一時帰国を3ヶ月したらLAに戻って来れるはずだったんだけど、うまくいかず、当時付き合ってた彼と、ペットと離れ離れになる生活を余儀なくされたの。絶対すぐ戻りたいって願ったけど、叶わなかった」

悔しさを抱えたまま、日本での暮らしが静かに始まった。

日本とLAとのギャップ。文化も違えば、人も違う。
居心地が良かったあの国での生活にはもう戻れない。
突然のことに彼女は、その状況に対応しきれなかった。

「友達と遊んでても涙が溢れ出したり、メンタルはボロボロ。なんだかあの時は、自分がどうあるべきか忘れてしまった感じ」

「LAでは、みんな自分をしっかり持っていて、他人のことを気にしている人は少ない。それが私にとって、すごく居心地がよかったんだよね。自由に自分のことだけに集中できたの」

その感覚は、帰国してから痛いほど恋しくなったと彼女は言った。

“文化や国民性の違い”

日本で大切にされている、「空気を読むこと」「人に気を遣うこと」
でも、それがいつも正しいとは限らない。

空気を読みすぎて前に進めない人もいれば、人に気を遣いすぎて自分の自由を失っている人もいる。“正しい”とされることが、誰にでも当てはまるわけじゃない。その当たり前に、初めて疑問を感じた。

「私って誰なんだろう」

自分を見失ってしまったパリサのなかで、その問いが静かに大きくなっていった。
そんなとき、思いがけず「瞑想」と出会うことに。

 


Comfy knit top(oat)

「山登りに一緒に行こうよ」

落ち込んでいたパリサを引っぱり上げてくれた友達のひとこと。
連れていかれた山の頂上で、あまりに気持ちよく、ふと目を閉じてみた。

「登山ってさ、本当に人生みたいだなって思ったの。頂上だけを見て登るんじゃなくて、目の前の一歩をコツコツ重ねていく。その過程って、人生と同じじゃない?」

汗や呼吸や静けさが混じるその空気の中で、山と対話を始めるように瞑想していると、
「山ってまるで、自分の人生みたい」と思ったそうだ。

頂上で聴こえたリアルな自分の声が、どん底に沈んでいた心を、そっと勇気づけはじめていたことに気づく。

—---------------------------------------------------------------------------------------「Blank Paper Club」

この後彼女は「Blank Paper Club / ブランク・ペーパー・クラブ」という登山や瞑想や自然を通して自己を追求する、コミュニティを設立。

2023年7月にスタートし、白紙(Blank Paper)の上に、自分が歩みたい人生を自由に描いてほしいという願いを込めて活動を展開する。自然、瞑想、セルフケア、そしてマインドフルネスを中心に据え、どなたでも参加できるさまざまな企画やイベントを行い、このコミュニティは、心と体を整えながら、自分らしい生き方を模索する場として成長を続けている。

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『本当の居場所』

Boheme wrap top(mocha)& Boheme short pants(mocha)

 

ある時Youtubeを見ていたら、彼女の目にある動画がとまった。
「Peace begins with you」というチャンネル。
インド人のMooji先生が瞑想を教えているものだった。

「そのクリップは、瞑想をガイドする内容だったんだけど、それを試しに、その先生の声にしたがって、興味本位でやってみたの。
ガイドに沿って瞑想をしてみると、みるみるうちに自分の内側にいっているような感覚になっていって...」

最終的にある言葉がすっとパリサの胸に入っていった。

「自分の中の平和は、暗くて 広くて 安全」

「平和はここにある」

そんな言葉が降りてきた瞬間、涙があふれて止まらなかったと、目を輝かせ話し続けた。

「平和ってずっと自分の中、ここにあったんだって、今まで勘違いしてたんだって気付かされたの」

彼女はその感覚をぎゅっと抱きしめた。

 

彼女がこれまで抱えてきた疑問や窮屈さ、居場所のなさ。

そしてロサンゼルスから日本に帰ってきて、自分が誰なのかさえも分からなくなっていた時期。そのすべてをやさしく包み込むように、一筋の光が、内側から差しこんできたのだと思う。

「いつだって平和は外にあるんだと思ってた。外からもらえるものなんだって。でも違った」

「今までずっと求めていたものは自分の中にあった」

その言葉を聞いたとき、私も、胸の奥がじんとあたたかくなった。
彼女がようやく見つけた“本当の居場所”は、安心できる、たったひとりの自分だけの場所。
パリサはその感覚を大切に抱きしめながら、本格的に瞑想を学びはじめることにした。

 

『It could be hell or haven, it’s up to you』 

 

「瞑想って、“今ここに戻る”練習なんだよね」
パリサがふと目を細めながら、再び語りはじめた。

YouTubeで偶然出会ったmooji 先生の言葉から始まり、2023年にとあるきっかけで東京にある「スワル」という瞑想講座などを開く会社からオファーを受けるパリサ。そこで出会った瞑想の先生とスワルの社長との出会いが彼女の今の活動を大きく広げた。

「スワル」での講座で一年鍛えて、その後資格をもらい今は講師をしている。https://www.instagram.com/suwaru_meditation?igsh=MXUzNzFpMXZjcG1hbQ%3D%3D

どうしてそんなにも瞑想に惹かれていったのか、そっと尋ねてみた。

「瞑想の目的って、人によって本当にさまざま。世間一般的には、頭の中っていう部屋を綺麗にするためとか、リラックス効果や自律神経を整えるためって言われてるけど、私にとっては“気づきを得る”時間なんだよね」

そのときの心身のコンディションやエネルギーの状態によって、降りてくる気づきや感覚はまったく違うと彼女は言う。
あのとき感じた「自分の中に平和はある」という感覚も、きっとすべてが揃って、タイミングがぴたりと重なったからこそ訪れたのだと。

「だからこそ、自分に必要な答えがちゃんと降りてくるように、エネルギーを整えて、身体もやわらかく準備しておくことが大事」

質のいい瞑想には、そんな小さな土台づくりも欠かせないのだと、彼女の言葉に、私も思わず深く頷いていた。

 

「瞑想は、みんなに2分からでもやってみてほしい」
パリサはやさしく微笑む。

「もし自分の生活が完璧で、不満がまったくないなら必要ないかもしれない。
でも“not perfect”っていうのが人間だからね、definition of human
だから瞑想で足りない部分を少しずつ補ってあげることが大切だと思うの」

「健康で、友達や恋愛もうまくいってて、仕事もあってお金もあるのに、それでもなぜか満たされないって感じてる人って、意外と多いの。
でもそれって全部“見えるもの”ばかりで“見えないところ”がempty(空)なんじゃないかなって思うんだ」

”it could be hell or haven, it’s up to you” その人によってこの地球が地獄なのか天国なのかは自分のマインド次第で大きく変わる。瞑想は、そんな気づきを与えてくれるツールでもあると彼女は言う。

「見えない世界が、見える世界をつくっている」パリサのその言葉が、まっすぐ私の胸にも響いた。

 

”今ここに”

目を閉じて、深く息を吸い込む。
胸の奥でかすかに鼓動が波打つ。

パリサの言葉がふとよみがえる。

たしかに、私たちはいつも目に見えるものばかりを追いかけて、
足りない何かを埋めようとしてしまう。
でも本当は、静かに呼吸を感じるだけで世界はやさしく形を変えるのかもしれない。

完璧じゃなくてもいい、迷ってもいい。
どこか遠くを目指さなくても、ちゃんと戻ってこられる場所が、自分の内側にあると知っていれば。

「瞑想って、“今ここに戻る”練習だから」
そう話していたパリサの言葉に、肩に入っていた力がふっと抜けていくのを感じた。

今日もまた、
今ここに。

PARISA | DJ・瞑想コーチ・ライフコーチ
Instagram

東京生まれ。幼少期より音楽と共に育ち、5歳でピアノを始める。
17歳でナイキのインストアイベントにてDJデビューを果たし、以降、国内外のクラブやアートイベントで活躍。音をエネルギーとして捉え、音楽を通して人々の心に触れる表現を探求してきた。

2016年、ロサンゼルスへ渡り、アメリカの大学に通いながらアート集団「WORD OF MOUTH」に所属。創造性とスピリチュアリティが交差するコミュニティの中で、“音と意識のつながり”に深く触れる経験を積む。

帰国後はEdition Hotel TokyoのレジデントDJとして活動し、音楽イベント「Oneness」を主催。“音で人と人をつなぐ”という想いを軸に、カルチャーとスピリットを融合した空間を生み出している。

2022年、登山中に自然の中で深い瞑想体験を得たことをきっかけに、
魂の声に従い本格的にヒーリングの道へ。

翌年、自己探求と自然との再接続をテーマにしたコミュニティ「Blank Paper Club」を設立。登山やリトリート、セッションを通じて、心・身体・魂を解き放つ場を創り続けている。

2024年、日本瞑想協会認定資格を取得。音楽・瞑想・ライフコーチングを融合させた独自のヒーリングメソッドを確立し、“Mindful Session”という瞑想会を全国で展開。“魂の記憶を呼び覚ますセッション”として注目を集めている。

そして現在、新たにオンラインプログラム「Mindful Session Academy(マインドフルセッション・アカデミー)」を準備中。

「“思考”から“感覚”へ戻る」をテーマに、瞑想・呼吸法・セルフケア・食習慣を通して“自分軸で生きる感覚”を取り戻すガイドを行う予定。

忙しい日常の中でも「内側の静けさ」と「行動できる心の安定」を育むための実践型メソッドとして、音楽家としてのリズム感とコーチとしての洞察を融合。“現実とスピリットの両方を整えるプログラム”として発信を予定している。

「私は魂の導き手」
幾度もの転生を経て、今世では「経験を生かし、誰かの変容を支える」ことが使命だと信じている。
愛を中心にすべてを包みこむセッションと、今この瞬間に戻る瞑想を通じて、本来の自分に還る旅へと人々を導いている。

 

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