コンブチャとともに生きるKimy / 自分を知ること

Wool calm sweater (oat) & Boheme lounge pants (ethnic)

ポカポカと暖かな陽気の水曜日。
鎌倉の街に降り立った。

駅から5分ほど歩くと、窓ガラス一面にカラフルで豊かな絵が描かれた、小さなお店が見えてくる。

「Kimy KOMBUCHA」

世界中から集まった、愛のこもった絵たちが、ここを訪れる人を迎えてくれる。

日本ではまだ珍しい、コンブチャの専門店。
子どもから大人まで、地元の人も海外からの観光客も、自然と混ざり合う場所だ。

窓越しに、やわらかな笑顔で迎えてくれたのが、このお店を営むKimy。
すらりと背が高く、揺るがない芯の強さを感じさせる素敵な女性だった。

扉を開けると、すぐ目に入るコンブチャの瓶。
足元に目をやると、小さく「Enjoy」の文字が書かれている。

「コンブチャ、飲んでみる?」

そう声をかけてもらい、一口。
彼女の作るコンブチャは、酸味だけが立つものではなく、フルーティーな香りがふわっと広がり、思わずもう一口飲みたくなる味だった。

「美味しいでしょ。今はチャイ風味とゆず風味のコンブチャを出してるの」

その言葉からも、試行錯誤と研究を重ねてきた時間が伝わってくる。


太陽のあたたかさに包まれた空間で、気になっていたKimyの人生と、コンブチャとの出会いについて話を聞かせてもらった。


『コンブチャのはじまり』

「コンブチャと出会ったのは、今から10年くらい前。
自分の体質を、本気で変えたいと思っていた時だったの。」

そう話し始めたKimyは、
「実は、小さい頃からずっと虚弱体質だった」と続けた。

今の彼女の雰囲気からは想像できない言葉に、少し驚かされる。

「3ヶ月に一度は高熱を出してたし、アレルギーとか、様々な不調を抱えながら過ごしてきたんだけど、アパレル業界で正社員として働いていた30代後半に、精神的な不安が一気に押し寄せた時期があったの。」

責任のある立場になり、人間関係にも悩み、心が張りつめていた日々。
そんな時、精神を落ち着かせるために手に取ったのが、アロマオイルだった。

香りが、心をゆるめてくれる。

その体験がきっかけで、彼女は「スポーツアロマ」を学び始める。

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「ちゃんと体のことを知りたいと思ったの。
アロマで緩和された実感があったし、もっと深く学びたくなって。
そこで、働きながら専門的に学べる学校に通うことにしたの。」

学びを深めるにつれ、Kimyの関心は“根本的な改善”へと向かっていった。

筋肉や骨格、生理学、食べ物。
そして行き着いたのが、腸内環境の大切さだった。

身体が弱いことは、彼女にとって長い間コンプレックスでもあった。
周りよりも体調管理に気をつけなければいけない。
無理をすると、すぐに身体に反応が出る。

だからこそ、“根本から変わりたい”という想いは、ただ健康になりたいというより、“もっと自由に生きたい”という願いに近かったのかもしれない。

『自分を知ること』

「とにかく、まず自分を知ろうと思ったの。」

スリランカでアーユルヴェーダの施設に滞在したり、調味料を変えてみたり、発酵食を取り入れてみたり。
今までとは違うものを生活に取り入れながら、一度、自分の選択を見直していった。

そうしていくうちに、少しずつ花粉症が軽減していく感覚があったという。

さらに腸マッサージも学び、自宅サロンを始めると、体だけでなく心にも変化が現れ始めた。

「エネルギーが整って、感情が落ち着いて、世界の見え方が変わっていく感覚だったの。」

「自分は変われない」と思っていた身体が、少しずつ応えてくれる。
その変化は、Kimyにとって何よりの喜びだった。

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「不思議なことに、いろんなことが整っていくと、サーフィンを始めたり、怒りの感情が落ち着いたり、自然といい方向へ向かっていくんだよね。」

彼女の言葉には、“頑張って変わった”というより、“本来の自分に戻っていった”ような静かな感覚があった。

身体が変わると、思考も変わっていく。
そして思考が変わると、自分が選ぶ人や場所、暮らし方までも少しずつ変わっていく。

Kimyが向き合っていたのは、“健康”だけではなく、“どう生きたいか”そのものだったように感じた。

自分を知ることとは、自分の身体に起きる小さな変化に耳を傾けることなのかもしれない。

自分の身体と向き合い続ける中で、Kimyの価値観そのものも少しずつ変化していった。
そしてその変化は、当時働いていたアパレル業界での働き方や、生き方そのものを見つめ直すきっかけにもなっていく。

でも、身体が整っていく一方で、当時働いていた環境との違和感は、むしろ大きくなっていったという。


『運命を変えたコスタリカ旅行』

根本改善を目指し、自分を見つめ直す時間が増えていったKimyは、当時正社員として働いていたアパレル会社で働く自分自身に、少しずつ疑問を持ち始めていた。 


「こんなに物を作って、その先はどうなるんだろうって。 売れ残ったら?在庫を抱え続けて、最後にはゴミになっていく。そのサイクルって、ただの負の循環でしかないなって思ったの。」


 違和感を抱えながら働く毎日は、彼女の心と身体を少しずつすり減らしていった。 


そしてそのストレスは、もともと身体が弱かった彼女に、大きく反応していったという。 


「そのタイミングで、思い切って仕事を辞めることにしたの。もう、物質的なものはいらなかったんだよね。働いているだけで気持ち悪くなってしまうくらいだったから。」 


精神的に参ってしまったと話すKimy。 

でも、自分の違和感を見過ごさずに選択したこの経験は、

「自分の感覚を信じてもいいんだ」という、大きな成功体験にもなっていた。 

 

仕事を辞めたあと、残っていた有給を使って向かったのが、コスタリカだった。 

旅が好きだった彼女が選んだその場所は、人生の価値観を大きく変えるきっかけになる。 

「コスタリカって、昔から世界中のウェルネスに関わる人たちが集まる国だって聞いてたの。幸福度が高い国としても有名だったし、自分のセラピストとしての経験を活かしながら滞在できたらと思って見つけたのが、“Peace Retreat”だった。」


 そこには、国籍も年齢もバラバラな人たちが集まっていた。 

ボランティアをしながら、自分自身と向き合う場所。 

そして、手に職を持つ人たちが、自分の技術でお金を生み出しながら生活していた。 


満月の夜には、自分の気持ちを紙に書き出し、手放す時間があった。 

そこでKimyが書いたのは、「日本で感じていた生きづらさ」だった。 


知らない人に、自分の弱さを打ち明ける。 

でも、その場にいた人たちは、彼女の言葉を否定しなかった。 


「それは日本だけじゃないよ。世界中で起きていること。 あなたは、あなたのままでいいんだよ。」 涙を流しながら、みんなで抱き合った夜。 

ぶわーっとなにかが吹っ切れるように、その言葉は、長い間彼女の中に溜まっていたネガティブな感情を、ゆっくりほどいていった。


 “あなたは、あなたのままでいい。” 

とてもシンプルな言葉なのに、どうしてこんなにも難しいんだろう。

 周りの目や環境、当たり前とされる価値観の中で、自分らしくいることは、時に勇気が必要になる。

当時40歳だったKimyは、周囲からこんな言葉を投げかけられてきたという。 


「40歳でシングルって、何か問題あるんじゃない?」 


結婚していることが“普通”で、そこから外れると理由を探される。 

そんな空気に、いつの間にか自分自身まで縛られていた。 


でもコスタリカで出会った人たちは、肩書きや年齢、結婚しているかどうかではなく、

“その人自身”を見てくれていた。 


「その時初めて、“私は私のままでいいんだ”って、本気で思えた気がしたの。」


誰かの価値観ではなく、自分の心に従って生きたい。

コスタリカで過ごした時間は、心の奥に眠っていた“本当の感覚”を、静かに呼び起こしてくれた。



『コンブチャが教えてくれたこと』


日本に戻ったあとも、その感覚は彼女の中に静かに残り続けていたという。

以前のように、“こうあるべき”に自分を当てはめるのではなく、
自分の身体がどう感じるのか。
どんな場所や人、暮らしに心が動くのか。
少しずつ、自分自身の感覚を軸に選択するようになっていった。

そんな頃、オーガニックショップで偶然手に取った一杯のコンブチャが、再び彼女の人生を動かしていく。

「ある時飲んだコンブチャが、想像以上に美味しかったのね。」

それはただ“身体にいい飲み物”というより、身体が自然と喜ぶような感覚だったという。

鎌倉で生活を始めたタイミングで、自宅でコンブチャを作り始めたKimy。
発酵の変化を観察しながら、菌と向き合う日々が始まった。

気温や湿度、その日の空気。
少しの違いで味も状態も変化していくコンブチャ作りは、どこか“生き物と暮らしている”ような感覚だったそうだ。

「スコービー菌って、本当に正直なの。」

そう笑いながら話すKimyの姿からは、菌を管理するというより、“共に生きている”ような空気を感じた。

やがて鎌倉での出会いが重なり、今のお店へと繋がっていく。

Organic cotton cardigan (oat) & Boheme lounge pants (ethnic)

「腸が変わると、マインドや感覚まで変わっていくの。
私自身が変われたからこそ、それを伝えたいと思った。」

Kimyが伝えているのは、ただの“健康ドリンク”ではない。
コンブチャを通して、“自分を知ること”を伝えている。

実際に、便秘が改善したり、花粉症が軽減したり、髪質が変わったり。
身体の変化を実感する人も多いという。

中には、「子どもの五感が豊かになった気がする」と話すお母さんたちもいるそうだ。

「子どものために来てくれるお母さんも多いの。
食育として興味を持ってくれて。」

Kimyは、菌との暮らしについてこう話してくれた。

「人がどう言ったとかじゃなくて、自分の体感をちゃんと信じることが大事なの。
スコービー菌が何を好むのかを理解していくと、自分主体じゃなくなるんだよね。」

自分がしたいことではなく、“菌が心地いい環境”を考える。

その感覚は、人間もまた自然の一部として生きていることを思い出させてくれる。

「だから、自分勝手な思考になりにくいの。相手を感じるようになるから。」


そして最後に、彼女は笑いながらこう言った。

「なにより大事なのは、“Joy”。自分が楽しむこと。」

誰かに評価されるためじゃない。
ただ、自分が心地よくて、楽しくて、続けたいからやる。

Kimyの言葉には、そんな軽やかさがあった。

でもその“楽しむ”には、ただ楽しいだけではない、彼女自身がたくさん悩み、自分と向き合ってきた時間も含まれているように感じた。

だからこそ、その姿に共感する人が自然と集まってくるのかもしれない。

 

ふと店内を見渡すと、窓ガラスいっぱいに描かれた、自由な絵や言葉たちが目に入る。

このガラスには、子どもも大人も、自由に絵を描いていいのだという。

「でもね、不思議なことに、大人になるほど描けないんだよね。」

Kimyはそう言って、少し笑った。

「長く生きるほど、“こうあるべき”が増えていくから。」

うまく描こうとしてしまったり、変に思われないか気になったり。
いつの間にか、“自由に描く”というシンプルなことさえ、難しくなっていく。

でも、子どもたちは違う。
迷いなく、思うままに線を描いていく。

その光景を見ていると、“自分らしくいること”は、本当はとても自然なことだったのかもしれないと思わされる。

そう言えば、お店に入った時、足元には小さく「Enjoy」と書かれていた。

楽しむこと。
自分の感覚を信じること。
心地いいと思うものを選ぶこと。

Kimyがコンブチャを通して伝えているものは、発酵の知識や健康だけではなく、そんな“生き方の感覚”そのものなのかもしれない。

窓いっぱいに広がる自由な絵たちは、
“こうあるべき”を少しだけ手放した人たちの、小さな痕跡にも見えた。

Kimy KOMBUCHAは、コンブチャを売る場所でありながら、
本当は、“自分自身に戻るための場所”なのだと感じた。

そして実は今、Kimyはまた新しい挑戦を始めようとしている。

これまで続けてきたカフェという形には、一度区切りをつけ、これからはまた新しい場所で、形を変えながらコンブチャを届けていくのだという。

「変わることって、怖いけど楽しいんだよね。」

そう笑う彼女の表情には、不安よりも、これから始まる未来への期待が滲んでいた。

自分の感覚を信じながら、少しずつ形を変え続けていくKimy。
そんな彼女の新しいステージが、もうすぐ始まろうとしている。

Kimy (橋本貴美代

Kimy Kombucha コンブチャ専門店(2017〜2026.3.31)

鎌倉を拠点にしながら、腸から健康と美しさを伝え9年
発酵飲料"KOMBUCHA"を国内外に普及活動している。

未病の大切さ、内側からの心身の健康法を伝え
実践より得た自然療法や栄養学等、広く豊富な知識を持つ事で、学ぶクラスは高い指示を得ている。

海外ツアーコンダクターの経験をいかし、スリランカアーユルベーダリトリートを主催。

"自分を知る"事を軸に開催


資格

⚫︎MTA腸内フローラアドバイザー

⚫︎JSTA(日本スポーツアロマ協会)セラピスト

⚫︎腸育アドバイザー

⚫︎心脳セラピー 

⚫︎TCSA日本添乗協会資格

 

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